「いっっったっ・・・!!亮介!!」
ひっくり返ったまま相沢くんを睨み上げる彼に
「まぁまぁまぁ、」
と、ニヤニヤした顔でショウくんを引きずると
「うわぁ!何すんの!」
いきなり、ショウくんの綺麗にセットされた黒髪をぐちゃぐちゃと掻き混ぜ始めた。
アタシは少し離れたそこで、ぽかーーんとそれを眺める。
「・・・ぷ」
背後で、インテリさんだか髭パーマさんだか分からない含み笑いが聞こえた気がするが、それに反応する間もない。
「や、やめっ!なんだよお前!」
「いーからいーから」
思い切りぐちゃぐちゃにされた黒髪は、後ろ姿でも分かるくらいに萎びてしまっている。
「おっけ」
ポケットから何かを取り出しショウくんにそれを手渡すと
「それかけてよーく見てみ?」
そう言いながらチョイチョイと、再びアタシに手招きをした。
もう、なんだかよく分からないけど従うしかあるまい。少しの段差になっているステージの前まで来たアタシはそこで歩みを止める。
ニヤリと笑った相沢くんがショウくんの身体をくるりと再びこちらに向けると
「ハィ!ご対~面~!!!!」
と、どっかのTV番組の司会さながらのオーバーリアクションを見せた。
そんな演出の中
改めて対峙したアタシとショウくんは
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
たっぷり10秒
お互いの顔を見つめたまま固まった。
・・・え?
・・・えぇ?
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!」
アタシは驚きのあまり有り得ない雄叫びを
防音のスタジオ内に響き渡らせてしまった。
「む、む、むむむ、室井くん!!!!???」
「あれ?日吉さんがいる」
相沢くんに手渡されたらしき眼鏡をかけると
細めていた目を今度はキョトンと丸くさせた室井くんがそこにはいた。
一瞬の間に、イケメンボーカリストショウくんが
あの、黒髪キタローヘアーに黒ブチ眼鏡の室井くんに
イリュージョンしていた。
