電車に揺られ、駅前から10分ほど歩くと
¨BASK¨と書かれた、古ぼけた看板を掲げたライブハウスが見えてきた。
入口には、既に派手な人達が集まっていて、思わず入るのを躊躇ってしまう。
うわぁ…あの人髪の毛ピンクだよ…
あっちの人は鼻にピアスが空いてるし
うおぅ!!あの女の人なんてヘソ出てるよ!!
うようよと集まる派手な人達に圧倒され
アタシは口を開けたまま、ぽかーんと突っ立っていた。
この人たちに比べれば、相沢くんの金髪ピアスなんてまだ可愛い方に思えてくる。
ってか、こんな所に本当に室井くんが現れるのだろうか。
アタシもなかなか場違いだが、室井くんは更に浮いてしまうんじゃないだろうか。
どうしよう。意外と私服がファンキーだったら。
実はあの前髪は顔中のピアスを隠す為のバリケードだったりして…
「お嬢ちゃん、入るの?入んないの?」
受付らしき所にいたスキンヘッドのいかついお兄さんに声をかけられ
「へ、へい!!」
と声を裏返してしまい、怪しげな視線を送られてしまう。
「は、入ります!!」
「じゃあチケット」
「あ、はい!!」
アタシはチケットをスキンヘッドのお兄さんに渡した。
「ハイ、これ」
と腕に黒いバンドのようなものをはめられる。
「後ろつかえるから早く入って」
「はいぃぃ!!」
そそくさと、アタシはそのライブハウスに足を踏み入れた。