隣の席の室井くん①



嵐が去った後のように静かになった教室に
ポツンと一人になると


思わず、ふぅっとため息をついて自分の席に腰を下ろした。


…なんか、ものすごく精神的なHPを消費した気がします。



しかしながら、やっぱり何度見ても不思議な組み合わせだ。けれど、意外にあの様子だと室井くんの方が尻に敷いちゃってる感じなんだろうか…?


対相沢だと室井くんたら強気なんだ。


それに、今日は相沢くんから室井くんのコト聞けたし。



まさかあの室井くんがロック好きっていうのも驚いたし、ライブハウスなんて似合わない場所にも顔を出すのも驚いた。


いつもニコニコ穏やかな室井くんのちょっとダークな一面も見れた。


…なんでダーク室井になったのかはわからないけれど。


相変わらず謎の多い男だ。



室井くんの登場で、反射的にポケットに突っ込んでしまったチケットを取り出す。

シワくちゃになったソレを指で伸ばし眺めてみる。



「Snake Footって…。蛇の足?」



変な名前。
蛇に足なんてないし。

なんて、そんなことを思ってみる。

相沢くんのバンドも興味あるし、何より学校以外の場所で私服姿の室井くんと会えるかもしれない。


ニヤける顔を抑えつつアタシは、



「よし!!」



と気合いを入れた。



もしかしたら室井くんともっと近付けるチャンスかもしれない。


あの金髪引き笑い男が何を考えてるのかは分からないけど、このきっかけに賭けてみよう。


アタシは教室で一人拳を握っていた。