隣の席の室井くん①


ちょ、

”だめ”ってなんですか!!
可愛すぎるんですけど!!


アタシは鼻血が噴出しそうになるのを耐えながら
後ろによろける。

それを室井くんが掴んでいた手に力を込めて支えてくれた。



「なぁんだよ翔~、いいじゃん別によ~仲良くするくらい~」

「だめ」

「なんでだよ~」

「だめ」




な、なんだろう。この状況……。

しかも、室井くん
心なしか怒ってる…?


全く状況が読めない上に、髪の毛で隠れた室井くんの顔からは全くと言っていい程その真意が見出せない。


…そんなことより


手!!手!!!!


今まさにアタシ
室井くんと手繋いじゃってますけども!!
白くて長い室井くんの手は、この暑さの中でもひんやりと冷たくて、だから余計に自分の手の温度が強調されているような気になる。


アタシと室井くんの正面で、何がおかしいのか必死で笑いを堪えている相沢くんは真っ赤な顔をして



「ヒャーーーッッ!!!ヒャヒャッ!!ヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」



と、ついに爆笑しだした。


しかも息も絶え絶え、今にも何かが喉に張り付きそうな勢いの今日1番の全開引き笑いである。