「コレ残りの1枚だから日吉チャン一人になっちまうんだけど」
「…大丈夫!行きます!!行かせて頂きます!!」
アタシはチケットを握りしめて、大きく頷いた。
「よろしく!!相沢くん!!」
「おう!よろしくな日吉チャン!」
謎の結束がここに誕生した。
熱く握手を交わして見つめ合ってると
「お、よう!」
と、相沢くんがドアの方に向かってそう発した。
つられて視線をやると
「室井くん!!?」
ドアの所には無言で立ってる室井くんがいた。
「用事終わったん?」
と、室井くんに投げかけながらもニヤニヤと笑い未だにアタシの手を離さない相沢くん。
ちょっ…!!
見てる!!室井くん、めっちゃ見てる!!
ひたすら無言でアタシと相沢くんのガッチリと握手されている手を凝視していたかと思うと、つかつかと教室に足を進めてくる。
素早く、アタシと相沢くんの間に入ったかと思えば
堅く交わしていた握手をチョップで切り
「……触っちゃだめ」
と、自分の後ろに隠すようにしてアタシの手を引っ張り、相沢くんに向き合った。
目を丸くして驚くアタシは相沢くんと顔を見合わせる。
みるみるうちに相沢くんの顔がニヤァっと
嫌な笑みに変化していったのをアタシは見逃さなかった。
「いやいや、日吉チャンと仲良くなったから、よろしくの握手してたのよ、ね~?日吉チャン」
笑いを堪えたような表情を見せながら頭を傾げて同意を求める相沢くんにつられ思わずアタシも頷いてみるも
「仲良くすんのもダメ」
と、室井くんは言ってのけた。
