隣の席の室井くん①




受け取ったソレに視線を落とすと

SnakeFoot

と書かれたチケット。



「これ…」

「そーう!俺らのライブのチケット!!今週の日曜にBASKっていうライブハウスでやるから、特別に招待しましょう!!」

「え、いいの!?ありがとう!」



まさか、相沢くんのバンドのライブに招待してもらえるなんて。どんなバンドなのかすごく興味がある。

それはそうと…



「えっと、これと室井くんとなんの関係が…?」

「翔もくんだよ、コレに」

「んぇぇぇ!!?室井くんが!!?」



あの室井くんがライブハウス!!?
なんてミスマッチ!!




「ライブのあとスタッフに言っとくから控え室おいでよ」

「いやいやいや、いくらなんでも」



自慢じゃないけど、室井くんほどではないが、アタシだって人見知りをしないわけじゃない。

そんな、相沢くんしか知ってる人がいないようなアウェーな場所(しかもバンドマンだらけ)に突入する勇気なんてない。



「翔もいるしさ、それに翔の私服姿見たくない?」

「室井くんの私服姿…」

「学校での翔とはまた雰囲気違うぜ~?」

「…行かせて頂きます」



思わず即答してしまった。




「ヒャヒャヒャ!!分っかりやすいね~日吉チャン!!」



もう、腹を抱えて笑われたとしても気にしません。
全開で引き笑いを浴びせられても気にしません。

どうせバレちゃったんだし、どんな思惑があるのか知らないけど協力してくれるってんなら、いっそのこと相沢くんを有効活用させていただこうじゃないの。

人見知りなんて、克服してやろうじゃないの。



「あ、でもコレ翔には秘密ね」

「秘密?なんで?」

「ライブハウスに出入りしてるのあんまりバレたくないって言ってたし、ほら、アイツ照れ屋さんだからねぇ~」

「照れ屋さん…」




だからあんなに前髪長くして顔隠してるんかな。
いやいや、まさかね。

照れ屋さんが理由で顔見せられないとかないでしょ。
どんだけ~って話でしょ。