「あ、マイナークラウン!!」
ヘッドフォンから流れる爆音に思わず反応したアタシを見て
「日吉チャン、知ってんの!?」
と、相沢くんが驚いたような声色で大声を出す。
それに若干後退しながらも頷いたアタシは
「ウチ、兄貴が一人いるんだけど、こっち系のバンドがすごい好きで。散々アタシも聞かされてたから。マイナークラウン格好いいよね。ダークな曲調が多いからあんまり一般ウケするバンドじゃないけど、アタシこのバンドが一番好き」
「うおぉぉぉ!!話が分かるじゃーん日吉チャン!!」
一気にテンションを上げた相沢くんは嬉しそうに笑いながらアタシの両手をブンブンと振り回す。
あわわわわ!!腕が取れます!!
ちぎれます!!!
「そっかそっか!日吉チャンとは好みがあいそうだ!!」
アタシの腕を振り回す相沢くんは嬉しそうにウンウン、と頷いた。
「マイナークラウンのコピーとかもやったりするの?」
「やるやる!でも最近はね~自分たちでも曲作ったりしちゃったりもすんのよ」
「自分たちで!!?曲を作るの!!?すごいね!!」
いやいや、それほどでもと頭をかきながら照れた真似をする。
バンドマンかぁ。
相沢くんの派手な格好もなんか納得だ。
意外といえば意外だけど、そう言われてみれば急にバンドマンに見えてくるんだから不思議だ。
「いや~、イイ子そうで良かったよ!!俺、日吉チャンと一回話してみたかったんだよね」
「へ??」
突然そんなことを言われ思わず目を丸くする。
そんなアタシを見てニヤニヤしながら
「日吉チャンはさ、翔と仲イイの?」
そんなことを言う。
突然の室井くんの名前に心臓が一気に飛び跳ねた。
