放っておくと、いつまでも笑い転げていそうなので
半ばももう開き直って会話を試みてみる。
「あ、相沢くんは、ギターやってるの?」
そういえば、よくギターケースを背負っているのを見かける。
「あ、そうそう。いちおうバンド組んでライブとかもやっちゃってたりすんのよ、こう見えて」
立て掛けてあるギターケースをトントンと叩きながら彼は得意気に胸を張る。
「ふぉぉぉぉ!!バンド!!ライブ!!」
まさかそんな人が身近にいるなんて!!
変な雄叫びを挙げたアタシに再び彼は
ヒャヒャヒャと笑い声を挙げながらも
「なになに!!?日吉チャンもバンドとか興味ある人!!?」
と、目を輝かせる。
「いやぁ、アタシは楽器とかは全然出来ないから、もっぱら聞く専門だけど」
「へー!!そうなんだ!」
おぉ。なんか普通に会話が出来ているぞ。
意外と話やすいじゃないか、相沢くん。
勝手にビビったりしてゴメンよ、相沢くん。
「どんなジャンルのやってるの?」
「んーーっとね、意外とコアな感じだからあんま女の子は知らないかもしんないけどー」
そう言って、彼は首からヘッドフォンを外しそれをアタシに手渡した。
そこからは爆音のロック調のメロディが流れ出してくる。
