隣の席の室井くん①


いつも、室井くんが静かに本を読んでいるその席に真逆の容姿の彼が座って笑い声を上げている。

机の上には、ギターが沢山載った雑誌が広げてあり
首にはギターらしきケースが立てかけてある。

それがあまりにも見慣れない光景で、なんだか不思議な気分になり、泳がせていた視線を思わずそれらに向けてしまう。



「ん?なになに?」



アタシの視線に気付いた相沢くんが、嬉しそうに身を乗り出す。



「いやいや!!なんでもないっす!!」



慌てて仰け反りながら両手を挙げ否定をするも
何故かそれも笑われてしまった。


…なんですかこの人。笑い上戸ですか。
しかも、さ○まサンもびっくりの超引き笑い。


相沢くんが笑うたびに、綺麗に染められた金髪が日に照らされてキラキラ揺れ、それを際立たせるような人懐っこい笑顔が屈託なく浮かぶ。


本当にこの人、あの室井くんのお友だちなんですか?

室井くんも、相沢くんと一緒の時は大口開けて笑ったりするんだろうか。


………いや、

想像力の限界です。


アタシは頭を横に振った。

室井くんが大口を開けて笑うよう姿が全く思い浮かばない。