隣の席の室井くん①



「まぁまぁ、遠慮せずに座って座って~」



と、あたかも自分のテリトリーかのように隣の席を指差す。



「…はぁ」



そんな彼にビビりながらも仕方なく、アタシは自分の席に腰を下ろした。


あまりにも派手な彼を視界に入れると、免疫のないアタシは白目を剥いてしまいそうなので、なるべく前を向き姿勢を正してみる。


そんなアタシを頬杖をつき、ニコニコと
…何故か凝視されている…?

なんなんだ、この状況。

え?アタシなんかした?
まさかこれから放課後リンチ!?

アタシはこの状況に耐えきれなくなり、思い切って目の前の金髪の人に話題を振ってみた。



「き、今日はお一人なんでしょうかね?」



あわわわわ、思わず敬語に!!



「ぶはっっ!!なんで日吉ちゃん敬語!?俺、タメじゃん!!しかも”かね”って!!!」



ヒャヒャヒャと、よく聞くあの引き笑いがアタシに向かって発せられる。



「翔が、担任に呼ばれてっから待ってんだよ」



何がそんなにツボなのか、ヒーヒー笑いながら彼は室井くんのイスの背もたれに寄りかかりギーギーと音を立てた。

…会話ワンリターンで
日吉”さん”から、日吉”ちゃん”に昇格した模様。

やったねアタシ。
思いっきり笑われアタシは思わず視線を泳がす。