隣の席の室井くん①


教室のドアを開け見渡すと、見慣れない…いや、
逆に見慣れたといっても過言ではない、眩しい向日葵色の派手な頭が視界に飛び込んでくる。


窓際の一番後ろの特等席。

そこはいつもなら黒髪の地味な少年のテリトリーなのだが、今はその正反対の少年がそこに陣取っていた。

教室の入り口で立ちすくむアタシに気付いたように顔を上げると



「あ~!!日吉サンでしょ!!?ね、ね、日吉サンだよね!!?」



と、その少年は立ち上がり満面の笑みで手招きした。

え?え?と、周囲を確認するも、
ここにはアタシしかいなくて、っていうか日吉サンてアタシのことよね!!ってな感じで自分を指差し頭を傾げると

金髪をキラキラさせた相沢くんが、うんうん、と
ニコニコ頷いた。


え!!?なんで!!?
なんでアタシ!!?


相沢くんは、室井くんに会いによくこのクラスを訪れるものの、いつも室井くんを無理矢理引き連れてどこかへ行ってしまうことがほとんどで

だから勿論、アタシなんかは相沢くんと何の接点もなければ喋ったこともないわけで…

むしろ、アタシの名前をなんで知ってるんですか!!?ってな話なわけで…。


ニコニコと手招きをする相沢くんに少しビビりながらも、どちらにせよアタシの鞄は彼の隣の席にあることを思い出し教室に足を踏み入れた。