隣の席の室井くん①


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昼休みが終わり教室に向かう途中
相変わらず廊下では、あの派手なメンバーが賑やかに談笑していた。

その中には黒髪で顔を覆い窓に寄り掛かり
相沢くんと雑誌を覗き込む室井くんの姿があって

その姿が視界に入っただけで心臓がドキドキと波打つアタシは、どうやらいよいよ本当に

室井くんに惚れちゃったらしい。
フォーリンLOVEしちゃったらしい。



おかしいな。

だって、アタシの理想は
背が高くて、笑うとキラリと白い歯が覗いて
適度に筋肉なんかついちゃってて

サッカー部とかのキャプテンなんかやっちゃうような
スポーツ万能なそんな素敵男子のはず。


それに比べて室井くんは


アタシよりは背は高いものの決して大きくはないし

太陽の下で、走ったりなんかしたらウッカリ倒れてしまいそうなくらいに華奢だし


…というよりむしろヒョロヒョロだし


イマイチ、ズレた発言をするような不思議っ子。

何を考えているのか分からないような人。


でも、



「あ、日吉さん」



アタシに気付いた室井くんが相沢くん達の輪の中から抜け出し、こちらに向かって小走りに走ってくる。


か…可愛い



「水あげといたよ。向日葵元気になってた」



頭を傾げてゆるり、と口元を上げて笑う室井くんに
アタシの胸はきゅーんと音を立てる。



「あ、ありがとう」

「ん~ん、じゃ~ねぇ」



片手を上げてトテトテと去って行く室井くんを見て



「…アレのどこにトキメクの?」

「え!可愛くない!?」

「さっっっぱり、わかんない」



さっちゃんは不思議そうに頭を傾げた。

これも、恋の病の一種なのだろうか。



アタシには黒髪キタローヘアーの室井くんが

可愛く見えてしまうのだから。