隣の席の室井くん①




「む、無理だよ、告白なんて」



大体にして告白ってなんですか。

好きですって言うんですか。
愛の言葉を囁けってか。


愛の言葉…告白…

…アタシが室井くんに?



「いやいやいやいやいやいや!!!」

「だから落ちつけっつーの」



バシッと、肩を叩かれて「ゴホッ」と思わずむせる。

…馬鹿力め。


告白だなんてとんでもない。
っていうか、たった今自覚したばかりの段階で
まだそこまで頭が…いや、感情が追いつかない。



「…大体にしてさ、想像つかないよ」

「想像?」

「…アタシと室井くんが、付き合うとかいう想像」



言葉にするだけでもむず痒いのに、お付き合いだなんて…恋愛経験皆無なアタシからしたら未知の世界過ぎる。

仮に、室井くんと恋人同士になったとして
一体全体アタシは何をどうしたらいいんだ。



「そんな身構えることないわよ。そん時はそん時で、流れに身を任せてれば自然と恋人同士っぽくなっていくわよ」



…さすが大学生の彼氏がいる人の余裕は違うゼ。


お弁当を食べ終えたさっちゃんがソレをしまいながらアタシを横目に、にやりと嫌な笑みを浮かべる。



「まぁ、あの室井が恋愛経験豊富にはどう考えても見えないし、初心者同士でちょうどいいんじゃない?」



からかうようなトーンでそう言った後に「あ、でも、」と言葉を続ける。



「あぁいうタイプに限って、案外むっつりだったりしてね」

「…むっつり」



むっつりとは。
そして、あぁいうタイプとは一体どういうタイプなのか。

それこそ恋愛初心者には分かり得ない。


とにもかくにも、今はまだ
自分の気持ちを自覚するだけで精一杯である。