隣の席の室井くん①




「そ、そんなわけないじゃん!!あははは!!さっちゃんってば、お茶目さん!!」



コノコノ~と人差し指でさっちゃんの二の腕を突きながら明らかに動揺を隠せないアタシ。



アタシが恋?


しかも、室井くんに?


室井くんにLOVE? 


フォーリンLOVE?





「んな、まさか!!!!」





あわあわとアタシは転げ落ちたお弁当箱を膝に乗せ、壊れかけたラジオのような笑いを醸し出す。




「馬鹿じゃないのアンタ。大体、その人のことを考えると胸がドキドキしたり、声を聞いただけで脳みそに電気が走ったり、無意識のうちに姿を追っちゃう~なんて、王道中の王道じゃない」




はぁ…と、再び呆れたような大きなため息をついたさっちゃんは止めていた手を動かしお弁当をつつき出す。




「だ、だって!室井くんとかアタシの好みじゃないし!」

「理想と現実は違うものよ」

「だって、室井くんなんかキタローヘアーのもっさり男子だし」

「それは否めないわね」



さっちゃんが、うんうん、と頷く。

ーーそれに何故か、ムッとしながら



「で、でもね!声が凄く綺麗なの!!あと手も!!あ、あと字も綺麗だった!!」



と、思わず口にする。



「あら、そうなの」



それにニヤニヤしたさっちゃんが卵焼きを口に運びながらアタシを見る。



「それにね!眼鏡の下の瞳とかね……!」

「……瞳がなによ?」

「……いや、なんでもない」




あの黒ブチ眼鏡の奥の瞳が物凄く綺麗なことは
いくらさっちゃんだとしても、なんとなく言わないでおきたいと思ってしまった。


なんで?


なんで?



そんなの、答えは一つだ。




「……アタシ、室井くんにフォーリンLOVEしちゃった?」 

「だから、そうだって言ってんじゃないのよ、さっきから」




あの綺麗な瞳だけは


アタシだけの秘密にしたいと思ってしまったんだ。