隣の席の室井くん①



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裏庭の人が集まるポイントから少し外れた角は
大きな桜の木がそびえ立ちいい感じに日陰が出来ていて、何気にあまり人に知られていないらしく穴場スポットである。


その場所で、お弁当を片手に腰を下ろしたアタシに
早速さっちゃんの質問が飛ぶ。



「んで?アンタのそのフナ顔の原因はまさかの室井なワケ?」

「フナ顔言うな」



もうちょっと可愛らしい表現を求む。



「要するによ?簡単にまとめると」



お弁当のタコさんウインナーをフォークで突きながら
さっちゃんが推理探偵バリの眼光を光らせる。



「アンタらが二人で日直をやった日から、何故か室井を見ると心臓がムズムズすると」



うんうん、とアタシはハンバーグを口に入れながら頷く。



「室井の声を聞くと、脳内が痺れる感覚がすると」

「そうなの。なんかもうね、ぞわわわ~って鳥肌が立つみたいな感覚になるのよ」



勿論、嫌悪からくるものなんかじゃなくて

なんかこう、背筋を這うような
なんとも言えない感覚になる。



「なんか最近、妙に室井と喋ってると思ったら、あの日そんなことがねぇ」



意外だわ室井、と興味深げにさっちゃんは頷く。



「アタシやっぱり、病気なのかも」

「は?」

「だってさ!!!」



アタシはフォークをお弁当の上に置き、拳を作る。