隣の席の室井くん①




『ん~、人によってイロイロだと思うけど』


室井くんの鳴らすギターの音が優しく耳元に流れる。
簡単なコードを並べながら弾いているような、心地よい弦の弾かれる音が。


そんなギターの音に乗せるようにして、唄うようなゆっくりとしたテンポで室井くんは言葉を続ける。



『やなぎんはギター弾きながらとりあえず頭に浮かんだメロディにコードをつけてくって言ってたよ』

「ベーシストなのに?」

『うん、やなぎんギターも上手いんだよ』



ジェントルマンやなぎん、多才だなぁ。
なんか、さすがです。



『イッチーは、思うままに鼻唄で作ってくるし』

「は、鼻唄?」

『そう。ドラム叩きながら鼻唄歌ってお披露目してくれるの』



あの無表情なイッチーが・・・黙々とドラムを叩きながら鼻唄を口ずさむ光景を想像してみる。


・・・ぜひ見てみたい!
ちょっと怖いけど。



くすくすと笑う室井くんは楽しそうに携帯の向こうでギターを鳴らす。


さっきよりも鮮明に、
その音が耳に届く。



『亮介は、ヘッドフォンしながらアンプに繋いで、ギターを思いっ切り掻き鳴らしながら勢いでって言ってる』

「相沢くんらしいね」



今、超想像出来ちゃったよ。

相沢くんが、金髪を振り乱しながら
「ひょっほーい!!」とか叫んでギターを掻き鳴らしてるところ。


それはそれで
なんかハードだ。



「室井くんはどうやって歌詞書くの?」

『俺?』


あ、きっと今また頭傾げたな。
こてん、って。

想像すると笑みが零れてくる。




『ん~、普通はきっと何か自分の伝えたいこととかを歌詞にしたりするんだろうけど、俺あんまりそれ得意じゃないんだ』

「そうなの?」



流行りの歌とかは、大抵切ないラブソングだったり
純愛を解いたような歌詞が多かったりする。

もちろんそればっかりじゃないけど。


マイナークラウンみたいに自分の思想や思いをぶつけた歌もある。


SnakeFootのオリジナル曲をちゃんと聞いたことがないから、室井くんがどんな言葉を歌に乗せているのかアタシは知らない。



「じゃあ、室井くんは何を歌詞にするの?」



素朴な疑問を投げかける。


『俺の場合、出来上がった曲のイメージを作曲した人に聞いて、それで自分の中に浮かんだ物語みたいなのを歌詞にすることが多いかな』

「物語?」

『うん。例えばね、イッチーの曲は割とダークな曲が多いからいつも暗い、サスペンス映画みたいになっちゃう』



サスペンス映画・・・。
どんなだソレ。


想像力の乏しいアタシには
イメージすることは出来ない。