さっちゃんの怒りを買うのは怖いのでとりあえず作業に戻るアタシを尻目に、採寸を終えた室井くんはピョコピョコと教室の端っこへはけていく。
・・・彼は参加する気はあるんだろうか。
「さっちゃ~ん、採寸終わったよ」
アタシが手渡した採寸リストを手にさっちゃんが目を通す。
「一人足りないわよ」
「え?嘘」
リストを覗き込むと
確かに。一人分足りない。
「あ、羽鳥くんだ」
「じゃあラスト、ヨロシクね」
そう一言残し、さっちゃんは「松坂さ~ん」と呼ばれる方に足を向ける。
セクシー隊長、大忙しである。
アタシは再びメジャーを片手に、羽鳥くんを探し教室を見渡す。
羽鳥くんは、大道具班で
男子たちと談笑しながら作業中だった。
・・・おぉ。
羽鳥くんのグループって、相沢くんに負けず劣らず派手だから思わず躊躇ってしまう。
だがしかし、さっちゃんが怖いので
そんなことも言っていられないわけで。
「羽鳥くん」
「ん?」
明るい茶髪を携えながら振り向いた羽鳥くんは見かけに寄らず爽やかな笑顔を見せる。
「採寸してもいいかな」
「あ~はいはい、いいよ」
そう言って、気前よく立ち上がった。
羽鳥くんの体にメジャーをあてがいながら、その数字を書き込んでいく。
・・・さっき室井くんを採寸したばっかりなせいか
なんだかすごく男の子なんだなぁ、と軽く失礼なことを考える。
いやだってさ、室井くん女の子もびっくりなほど華奢だからさ。
そりゃ骨格とか、もちろん男の子だけど
ウエストとかアタシより細いし・・・
ちょっと傷付くよ。
彼女として。
「日吉さんてさぁ」
ふと、羽鳥くんが口を開く。
それに視線を上げると、羽鳥くんが不思議そうな顔をしてアタシをまじまじ見ながら
「室井と仲いいの?」
「へ?」
「いや、なんかさっきも仲よさげだったしさぁ」
「あー・・・」
仲いいっていうか
付き合ってるんです。
・・・とはやっぱりなんか照れ臭くて言えないけども。
「室井ってさぁ、なんか謎だよなー」
そういう羽鳥くんの目線はアタシじゃなくて、教室の端っこでポツンと立っている室井くんに向けられる。
アタシもそれを追うようにして室井くんを見る。
