「学祭?バンド?」
頭を傾げる室井くんの顔、いや、もとい眼鏡には
意味がわからないと書いてある。
「いやさ~、丁度去年から体育館でのステージ発表やってんじゃん?ほらよ~去年もバンド何組か出てたけど、皆ショボイだろ!!ダメだろ!!本当のバンドっつーの見せてやろうぜ!!」
声のボリュームを抑えつつも、意気揚々と喋る相沢くんの瞳は期待で満ち満ちている。
なんでわざわざ小声で話すかっていったら、もちろんそれは室井くんがSnakeFootのボーカルだってことが秘密だからであって…
なのに、文化祭でバンドをやろうって・・・
そんな馬鹿な。
室井くんも恐らく同じことをおもったのであろう
「馬鹿じゃないの」
と、そっけなく言い放ち
相沢くんの手から奪われた本を取り替えした。
「だ~いじょ~ぶだって!!いつもみたいに変装すりゃいいじゃん!!バレね~バレね~!!」
「やだよ」
「なんでだよ!!」
「大体、やなぎんもイッチーも学校別だもん、出られるわけないじゃん」
「ヒャヒャヒャヒャ!!その辺ばっちり!!さすがに他校の奴がステージに上がるワケいかねぇから、軽音部からそこそこのベースとドラム引っ張ってきた!!」
・・・そこそこって。
軽音部の方々に失礼だよ。
「それに引き替えお前は同じ学校だしよ~!!問題ナッシング!!」
「馬鹿じゃないの」
二度目の¨馬鹿じゃないの¨来ました。
はぁ、とため息をついた室井くんは
「大体、俺は今のバンドだけでイッパイイッパイ」
といかにも嫌そうな声を出す。
「大丈夫だよ!!曲も大体形になったじゃねぇかよ」
「歌詞まだ書いてないし、曲も全部覚えてないもん」
そう、この前から
「書けない~」と室井くんはずっと頭を抱えている。
どうやらSnakeFootの曲の歌詞担当は室井くんらしく
それにもビックリしたんだけども。
「大丈夫!大丈夫!なんとかなるなる!!そのうち神が降りてくっからよ~」
ヒャヒャヒャは相変わらず楽観的である。
「な?やろうぜバンド!!」
「無理」
「なんで!!」
「何回言わすの」
「何回でも聞くわ!!俺が納得できるまで!!」
しつこい男だな。
金髪ヒャヒャヒャよ。
でも、体育館のステージの上で唄う室井くんかぁ。
想像つかないな。
「俺、学校の人達の前で歌う気なんてないからね」
「だからなんで!!」
「注目されるの嫌」
「いつもライブで見られてんじゃんか!!」
「あれは別。俺じゃないし」
「は?お前だろうが!!」
「俺じゃないもん。¨ショウ¨だもん」
「屁理屈言うなよー!!!!」
小声でヒソヒソと言い争う二人の背後に
「・・・なにやってんのアンタらは」
文化祭の実行委員長に、出し物を提出しに行っていたセクシー隊長が仁王立ちでご帰還なされた。
「さっちゃ~ん!!翔が屁理屈言う!!」
「うるさい亮介、帰れクラスに」
珍しく低いトーンの声を出す室井くんは、本当にバンドをやりたくないらしい。
「なんなのよ」
さっちゃんの視線にアタシも苦笑いして、これまでの経緯を話す。
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「アッハッハッ!!いいじゃない!!やりなさいよ室井!!」
この人も、相沢氏寄りらしい。
