視線の矛先になっている本人は
「うん?」
と、首を傾げながら少しだけ顔をしかめる。
それにニヤリと笑う相沢くんに、アタシまで思わず顔をしかめた。
・・・わかる。
・・・わかるよ。
あのセクシー隊長で慣れているアタシにはわかりますよこの顔。
これは完璧に
悪巧みをしている時の顔だ。
ニヤニヤと笑いながら室井くんに視線を送る相沢くんが、ずいっと机越しに顔を近付ける。
「なに」
顔をしかめたまま室井くんが更に後退するも、相沢くんの両手がガッチリと彼の肩を掴んだ。
「翔!!」
「だから、なに」
「バンドやろうぜ!!!!」
相沢くんの言葉に
「「は?」」
と、アタシと室井くんの声が見事にハモった。
「何言ってんの、今更」
相沢くんの両手を払いながら再び¨戦慄!!ほんとうにあった恐怖現象!!¨に目を落とす室井くん。
「ちっがぁぁう!!」
ダンダン!!と足を踏み鳴らしながら室井くんの手から本を取り上げた相沢くんは
「バンドだよ!バンド!」
と、再び騒ぎ出す。
「だから、意味わかんない」
「なんでだよ!!」
「なんでって、もうやってるじゃん」
「ちっげーよ!!」
相沢氏。
何がどう違うんですか。
意味がわかりませんて。
今更¨バンドやろうぜ¨って、あなたたち既にバンドやってますがな。
そんなアタシの視線に気付いたのか
「あ、そっか!!ちげぇや、間違った!!言い方間違った!!」
大袈裟に両手を叩きながらヒャヒャヒャヒャ笑った相沢くんは今一度机に身を乗り出す。
「翔、学祭でバンドやろうぜ!!」
「「は?」」
再び、アタシと室井くんの声がハモった。
