話し合いから数十分。
「んじゃあ、こん中から多数決で決めるわよ」
田中くんが黒板に書いた
出し物案を眺める。
お化け屋敷、喫茶店
作品展、フリーマーケット、クラス劇
結局、大した案も出ず
バッサリ切り落としていたさっちゃんも面倒になったのか、却下案も交えての多数決となった。
「室井くんは何がいい?」
隣で俯いている室井くんを見れば
「・・・スー・・・」
どうやらお昼寝中。
室井くん!!
ダメだってば!!
それだけはダメだってば!!
いくら長い前髪で顔が隠れてるからって!!
ぶ厚い眼鏡でガードしてるからって!!
恐る恐る視線を前に戻せば
「・・・・・・ふふ」
不敵な笑みを浮かべるさっちゃんが仁王立ちでこちらを見ている。
「・・・えへ?」
とりあえず微笑み返してみるものの、アタシは聞き逃さなかった。
「絶対泣かす」
ぽつりと呟いた
セクシー隊長の言葉を・・・
やばいよ室井くん・・・。
殺られるよ。
ーーーーーー
ーーーー
「へぇ~お化け屋敷やんの?面白そうじゃん」
最近、もうお決まりになりつつある相沢くんの特等席・・・気弱な田中くんの席で、椅子にのけ反りながら相沢くんはうちのクラスに居座る。
・・・ほら、田中くんが
オロオロしながら遠くから見てるよ・・・。
「あ、お化け屋敷になったんだ?」
相沢くんの言葉を聞いて、今初めて知りましたみたいな顔をする室井くん。
・・・うん、君は肝心な時に居眠りこいてからね。
アタシは知らないよ・・・
さっちゃんのあの低い言葉が耳に焼き付いちゃってるよ。
「準備大変じゃね~?」
椅子の背もたれに背中を預けながら、相沢くんの耳元の大量のピアスが音を奏でる。
なんか、この人もしばらく会わない間にますます派手になった気がするよ。
手首や首にはジャラジャラと沢山の貴金属が装着され
少し日焼けした肌に、相変わらずの金髪がキラキラと目につく。
・・・それに比べ、
キタローバージョンの室井くんはなんて質素なんだろう。
まるで、イタリアンとお茶漬けみたいな差があるよねこの二人。
そんな彼らを軽く見比べつつ
「そ~なんだよね、今日の放課後から早速始めるらしいけど」
と、机の上の教科書を徐に揃えてみる。
「なになに、どんなことすんの?」
「準備では、女子は衣装班男子は大道具班みたいよ。当日はお化け役と呼び込み班に分かれてるんだけど」
「日吉チャンどっち?」
「アタシは呼び込み班。どうせならお化けのがよかったんだけどなぁ」
そんなことより、アタシに衣装作りが勤まるのかが心配だ。
中学の時、雑巾縫わされて雑巾ならぬものが出来上がってしまうような不器用さですが…。
「翔はなにすんの?」
相沢くんに問われた室井くんは、すーっと視線を黒板に向け
「・・・呼び込み班?」
頭をこくん、と傾げた室井くんが半疑問形でアタシに視線を向けた。
