「翔よ~、」
亮介が溜め息をつきながら頭をボリボリとかく。
珍しく少し困った顔をしながら。
「やっぱまだ上手くいってねぇの?¨あの人¨と」
亮介の言葉に、顔にかかった前髪を再び触る。
「最近、全然会ってないから」
「忙しいもんなぁ、歩さん」
¨あの人¨の名前に
ぴくり、と反応してしまう。
そんな俺を見て
「まぁ~何はともあれ!!折角日吉チャンと出会ったんだからよ~大事にしろよ~!!」
ヒャヒャヒャと笑いながらおちゃらけた亮介が、いつもの調子で軽く締め括る。
馬鹿でうざいけど、たまに空気を読む。
笑い声がイラっとするけど亮介なりの気遣いなのは
流石に付き合いが長いだけあって分かる。
そんな亮介を尻目に、沈黙を守っていたイッチーが
「曲名、どうする」
と、突然話題を戻した。
「ん?あ、あぁ」
場を見守っていたやなぎんが突然話を振られ間抜けな声を出す。
「だ~から~!!いいじゃんよ!!決まんねぇんだから¨伊達眼鏡¨で!!」
「いいわけないだろ」
「んじゃあ¨アフロ¨で!!」
「・・・わたあめ」
「却下」
ライブまで、あと
2ヶ月。
それまでに
もう少し、体力つけないと多分俺はステージで倒れるだろう。
それに、
亮介のあのご機嫌な曲に歌詞もつけなくちゃなんない。
やることはたくさん。
バイトもしなくちゃ
歌も覚えなきゃ
けど、日吉さんに
会いたいなぁ。
少しだけ、こっそりと
胸の中で呟いてみた。
