隣の席の室井くん①



とりあえず亮介がピンクのギターを手に
イントロ部分を掻き鳴らす。

亮介のギターを聞きながらスコアに目を通す。



「・・・」

「・・・」

「・・・」

「ど~よ!!ぜってぇイイ曲になんだろコレ!!」


イントロを弾き終えた亮介が得意げに言う。


俺達は無言。


広げられたスコアには
走り書きのコードがうようよと黒く並んでいる。



「・・・なんていうか」



やなぎんが、ため息混じりに苦笑いする。


「亮介らしい」


イッチーがそう付け足す。


「翔はど~よ!!」

「なんかご機嫌だぜって感じ」


その言葉に
ヒャーッヒャヒャヒャ!!そうそうそんなカンジ!!
と亮介が高笑いをした。


今のイントロだけでもかなりキャッチーでポップな
今にも亮介のヒャヒャヒャが聞こえてきそうな曲だ。



「ここのコード進行、無茶がないか?」


スコアを真剣に見つめながらやなぎんが突っ込めば


「大丈夫!!大丈夫!!やっちまったモン勝ちだろそんなん!!」



そんなワケないと思う




亮介のギターの腕は確かにすごいと思う。

マイナークラウンの複雑なコードも難解なフレーズもあっという間にマスターする。



その分、亮介が作るギターの旋律もソロもすごく完成度は高い。


けど、単純な奴だから「カッコイイ~から!!」って理由でやたら複雑なコードを組み立ててくる。


それを弾きこなす亮介もすごいけど


俺らは大変だ。



「今回は増してキャッチーだな。特にこの辺」


やなぎんが指差した部分はAメロからサビに移行する部分。



確かに、かなりキャッチー。

基本的に亮介の作る曲は
ロックっていうよりポップなカンジだ。

いちおう俺達はロックバンドだけど

特にそういうこだわりもないし、それはいいんだけど・・・


・・・今回のはいつもに増してキラキラしてる。


っていうか
全体的にご機嫌な感じ。



「今までにないな」



イッチーは頭の中で早速リズムを描いてるのか
テーブルの上でトトトン、トトトンとリズムを刻みながら呟いた。


「ドラムはイッチーに任せる!!俺にはドラムはわかんねぇし!!」

「おいおいベースは?」

「ベースぅ?ベースはコードに合わせて適当につけてよ、やなぎんに任す!!」

「いや、それにしても全体的なイメージみたいなモンをな?」

「え~?イメージ~?ん~・・・こうひょっほ~い!!みたいなカンジ?」



「「「どんなだよ」」」



ものすごく

雰囲気のみじゃん。