隣の席の室井くん①





         * *  *



「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・イッチー・・・?」




恐る恐る見上げながらそう聞けば、目の前のイッチーが無言のまま頷いた。



「どーしたのそれ」

「・・・気分転換」



ポツリと呟くイッチーの頭は、この前まで黒髪だったのにド派手な金髪のアフロになっていた。


亮介の金髪よりもっと色素の薄い金髪。

遠目に見たら、白髪に見えるかも。



「わたあめみたい」

「そうか」



この前までかけてた伊達眼鏡もなくなり、まるで別人みたいだなぁ、と見上げる。


イッチーの家は美容室だから、たまにこうやって突然髪型を変えてくるんだけど

これじゃお客さん
誰だかわかんなくなっちゃわないかな・・・


っていつも思う。



「ひゃーっひゃひゃひゃひゃ!!!!イッチー!!すげぇなソレ!!」


スタジオに入ってきた亮介が開口1番、イッチーを指差して笑った。



「おいイチ、それ学校大丈夫なんか?」



続いて入ってきたやなぎんが、心配そうに眉をひそめる。



こくり、と頷いたイッチーは


「赤のドレッドが大丈夫だったから大丈夫」


と無表情のまま答える。



・・・うん。


あん時もびっくりした。


正直、あの頃のイッチーは恐かったもん。

今にも誰か殺しかねない感じだったもん。





夏休みもあと半分をきって最近は相変わらずバイトとバンドの練習。


たまに日吉さんと遊んだりもする。


って言っても、夏休み中、買い物行ったのと日吉さんが家に来たのと日吉さんのお家に遊びに行ったくらい。


日吉さんのお兄さんが俺らのバンドのファンらしくて、凄くよくしてもらってる。



本当はもっと会いたいんだけど・・・



「翔~、曲書いてきたかぁ?」


亮介の言葉に、視線をそらす。


「まぁた書いてねぇのかよ!!今日までに1曲は作ってこいっつったろー!!」

「だって書けないもん」

「書けるって!!お前センスあんだからぜってぇ書けるって!!」

「書けないもん」



無理なものは無理。
第一、曲なんか作ったことないもん。



「んだよ~」


と口を尖らせながらも


「んじゃとりあえず10月のライブは今までの曲と俺の2曲と、やなぎんとイッチーの1曲ずつでいっか~?」


亮介があっさりと言った。


・・・だから最初から
そうしようって言ってたのに。