隣の席の室井くん①




「きっと日吉さんが思ってるより、俺はドロドロした人間だよ」



咲いては消える花火の光が室井くんを頼りなさげに照らす。

なんか、その光に飲まれて
今にも消えてしまいそうだ。



「それがバレちゃった時、日吉さんに嫌われちゃいそうで恐いな」



小さく笑って頭を傾げた室井くんの手を、ギュッと握れば


室井くんが、少し目を見開いた。



「・・・うん。きっとアタシのまだ知らない室井くんが沢山いるんだと思う」

「・・・」



口を開いた方アタシの言葉を
黒目を揺らしながら黙って室井くんは聞く。



「でもね、いーよ。難しいことも詳しいことも何もわかんないけど、いーよ」



数年ブリの花火大会。
数年ブリの浴衣。

ちょんまげに浴衣姿の無敵バージョン室井。



それらを前にして恥ずかしいことなんて
もうないじゃないか。



それよりも何よりも

こんな顔の室井くんを
見たくない。




「どんなんでも、室井くんが室井くんだったらそれでいーよ」




消え入りそうにはかなく笑うこの人が
今、笑ってくれればいい。



「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・なんか言ってください」




あんまりにも無言の続く室井くんに耐え切れずアタシは言葉を漏らす。



だって!!
この上なく恥ずかしいことを勇気を振り絞って言ったのにスルーって!!!!



うわ~、何コイツ
何、恥ずかしいこと言っちゃってんの?とか思われてたら確実死ねる!!!!



そろり、と
室井くんに視線を向けると



「・・・へへ」



嬉しそうに笑う室井くんが少しだけ、眉尻を下げてアタシを見ていた。




「日吉さん」

「な、なんでしょーか!!」

「俺、また一個発見した」

「な、なにをでしょーか!!」

「俺、思ってたより我慢強くないみたい」




そう言った室井くんに目を見開けば



あっという間に
アタシは室井くんの腕の中にいたーーー。