隣の席の室井くん①





「亮介は、もう腐れ縁みたいなものだしなぁ」



室井くんが、口元を緩ませながらちょんまげを揺らす。

花火の光が、少しだけ眼鏡に反射して
室井くんの目が見えない。


「確かに、アイツらとの¨この先¨なんて考えたことないや」



誰かとの¨この先¨
確かにアタシもあんまり、考えたことない。


家族とか、さっちゃんとか
その他の友達とか


なんとなく毎日顔を合わせてて
なんとなく毎日一緒にいて


それが当たり前だから。



当たり前すぎて
当たり前のように¨この先¨もずっと続くと思ってるから。



でも、室井くんは


室井くんとの¨この先¨は不思議と考えてしまう。



多分それって

家族とも友達とも違う¨好き¨って感情があるからで

好きな人が同じ気持ちで今隣にいてくれることが
奇跡みたいなことで

¨当たり前¨
じゃないからで。



「俺、初めてだ」



室井くんが、ポツリと呟いた。



「誰かの¨この先¨にいたいって思ったの」



どーーーーん!!!!!!


わあぁぁぁぁ!!!!




今日、1番の
大きな花火が夜空いっぱいに咲いた。




「日吉さんは特別」

「と、特別?」

「うん、特別」



ニッコリ笑う室井くんの背後に、花火が次々と上がっていく。



「嫌いにならないでね」


花火の音に消えそうな位小さな声で、室井くんが呟いた。



「・・・嫌いになんてならないよ」



嫌いになるどころか
どんどん好きになっていくのに。


「うん、でも、俺最近色々発見したの」

「発見?」

「うん」



室井くんは
もう、花火なんて見ていない。


真っすぐアタシを見ている。

大きな黒い瞳を真っすぐ向けて来る。



「俺、きっとね、すんごい独占欲強い」

「・・・」

「日吉さんが、もし他の人好きになっちゃったらきっとストーカーになるかも」

「・・・ストーカーって!!」



恐いことをサラッと言うね君は!!



「それにきっと、俺ワガママだよ」

「ワガママ?」



ワガママな室井くんなんて見たことないよ?



「うん、ワガママ」


室井くんは、フワフワ笑いながらキタローお面のゴムをぱちん、と弾いた。