「亮介は、もう腐れ縁みたいなものだしなぁ」
室井くんが、口元を緩ませながらちょんまげを揺らす。
花火の光が、少しだけ眼鏡に反射して
室井くんの目が見えない。
「確かに、アイツらとの¨この先¨なんて考えたことないや」
誰かとの¨この先¨
確かにアタシもあんまり、考えたことない。
家族とか、さっちゃんとか
その他の友達とか
なんとなく毎日顔を合わせてて
なんとなく毎日一緒にいて
それが当たり前だから。
当たり前すぎて
当たり前のように¨この先¨もずっと続くと思ってるから。
でも、室井くんは
室井くんとの¨この先¨は不思議と考えてしまう。
多分それって
家族とも友達とも違う¨好き¨って感情があるからで
好きな人が同じ気持ちで今隣にいてくれることが
奇跡みたいなことで
¨当たり前¨
じゃないからで。
「俺、初めてだ」
室井くんが、ポツリと呟いた。
「誰かの¨この先¨にいたいって思ったの」
どーーーーん!!!!!!
わあぁぁぁぁ!!!!
今日、1番の
大きな花火が夜空いっぱいに咲いた。
「日吉さんは特別」
「と、特別?」
「うん、特別」
ニッコリ笑う室井くんの背後に、花火が次々と上がっていく。
「嫌いにならないでね」
花火の音に消えそうな位小さな声で、室井くんが呟いた。
「・・・嫌いになんてならないよ」
嫌いになるどころか
どんどん好きになっていくのに。
「うん、でも、俺最近色々発見したの」
「発見?」
「うん」
室井くんは
もう、花火なんて見ていない。
真っすぐアタシを見ている。
大きな黒い瞳を真っすぐ向けて来る。
「俺、きっとね、すんごい独占欲強い」
「・・・」
「日吉さんが、もし他の人好きになっちゃったらきっとストーカーになるかも」
「・・・ストーカーって!!」
恐いことをサラッと言うね君は!!
「それにきっと、俺ワガママだよ」
「ワガママ?」
ワガママな室井くんなんて見たことないよ?
「うん、ワガママ」
室井くんは、フワフワ笑いながらキタローお面のゴムをぱちん、と弾いた。
