隣の席の室井くん①




「だ、だからね、あの、えと、付き合ってもらってる、だなんて言わないでーみたいな?」



・・・・・恥ずかしさのあまり
最後半疑問形になってしまったよ。


情けない・・・



室井くんは、無言のまま
ひたすら喋るアタシの言葉を聞いていて


アタシが全部言い終わると、黒ブチの奥の綺麗な瞳を
再びうっすらと細めた。


それが、ぞくりとするほど色っぽくて、アタシは思わず息を飲む。



「うん、ありがとう」



少し顔を赤くした室井くんは、ホントに嬉しそうに笑った。


あぁ・・・なんかもう、敵わない。


この笑顔と、室井くんの醸し出すほんわかモードに
敵う気がしないよ。


アタシにとっては¨ショウ¨だろうとキタロー室井であろうと関係ないよ。


¨室井翔¨にドキドキするんだよ。


「俺もね、日吉さんにドキドキしてるよ?」


目を細めたまま室井くんがそう言う。


「嘘だぁ・・・」

「してるよ、今も」

「今も?」



そんな馬鹿な。
貴方いつも、ニコニコのほーんとしてるじゃない。

母さんと兄貴の前ですら
相変わらずのマイペースだったじゃないですか。


「ん~、ドキドキっていうか・・・・・・やきもき?」

「や、やきもき・・・?」

「うん、やきもき」



・・・どういう意味ですか。



「日吉さん見てるとね、触りたくなる。」

「さっさわっっ」

「ドキドキもするけど、やきもきのがピッタリな感じ」



・・・こ、これは
なんてコメントしたらいいんですか!!


「だからさ、日吉さん」

「へ!?」

「触ってもいい?」

「へ!!?」



さらり、とそんなハレンチ発言をしたかと思うと再び室井くんがテーブル越しに手を伸ばす。


しかも、さっきよりも身を乗り出して。


スッと伸びてきた手は
躊躇いなくアタシの上気した頬に触れる。

真夏なのに、ひんやりした手。
言うまでもなくそれにアタシの心臓は暴れ狂う。


「むむ、室井くん!!」

「だって、日吉さんが悪いよ今のは」

「な、なんでですか!!」

「そんなこと言われたら我慢できるワケないもん」


もん、とか
可愛く言っちゃってますけど、しっかりその手はアタシの頬を撫でている。

それにアタシはもう硬直するしかない。


「あはは、柔らか~い」

「・・・・・・・・・」



・・・顔が丸いんでね。
触り心地は悪くないでしょーよ。


しばらく、ぷよぷよとアタシのホッペで遊んでいて
されるがままに硬直していたものの


「日吉さん、こっち来て?」


室井くんが首を傾げながら可愛いカンジでそんな要求をしてきた。


「む、むむ無理!!!!」

「なんで?」

「なんでって!!だ、だだだって、何する気ですか」

「ん~、もっと触りたい」

「さ、さわっっ!!!?」

「だって、足りない」

「いや・・・足りてください。今はこれ以上は無理です」

「んー」



眉をしかめてむーっと口を尖らせても
無理なもんは無理です!


兄貴も母さんもいるし
これ以上の接近戦は危険です!!


何より、アタシが爆発します。
これ以上は爆死しますから!!!!