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「ホント、うるさい家族でごめんね・・・」
やかましい兄貴と母さんから逃れるために、アタシは室井くんを引き連れて自分の部屋に避難した。
・・・ていうか、それどころじゃなかったけど
アタシの部屋クーラーないんだった・・・。
暑い。暑いよ。
だが、あの恥ずかしい兄貴と母さんがいるリビングよりマシだ。
室井くんは、興味深げにアタシの部屋をキョロキョロと見渡していたかと思うと、アタシの言葉にニッコリ笑い
「仲いいね」
と、言葉を漏らす。
「え~、そうかな。うるさいだけで恥ずかしいったら・・・」
ゆっくりと、ベッド前に腰を下ろすと室井くんはフフと笑いを漏らす。
眼鏡は兄貴から取り替えしたものの、除けられた前髪はそのままで室井くんの綺麗なお顔がよく見える。
未だに慣れないんだよね。室井くんの顔に。
・・・なんか違う人と一緒にいるみたいな気持ちになるよ。
「はぁ~、でも緊張した」
室井くんがポツリと呟く。
「え!!?緊張!!?してたの!!?」
「さすがにするよ」
苦笑いの室井くんは、相変わらず汗一つかかず涼しげに答える。
「嘘だぁ、いつも通りだったじゃん!!」
「え~、そんなことないよ。彼女の家に初めて上がるんだもん、緊張しないわけないよ」
びっくりしたけど。と、最後に付け足す。
・・・改めて、彼女、とか言われるとなんか照れるなぁ。なんて。
「仲いいんだね、お母さんとお兄さんと」
窓の外を眺めながら呟く室井くんの言葉に、思わず言葉を詰まらせる。
そういえば、室井くんの家にはなんかイロイロ事情があるっぽいもんなぁ。
「楽しいお兄さんとお母さんだね」
窓の外からこちらに視線を戻した室井くんの表情が
少し寂しそうに見えたのはアタシの思い過ごしなのかな。
「お恥ずかしい限りで・・・」
どうせなら、もっとちゃんとした形で合わせたかったよ。
ちゃんとした形ってどんなだかよくわかんないけども・・・
イロイロ準備が出来てなさすぎだって話ですよ。
ニッコリと、いつもの穏やかな笑みを浮かべる。
