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「はい、そこに座ってね~」
「あ、はい」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「なに二人してだんまりしてるのよ~、ねぇ?室井くん?」
無言のアタシと兄貴を他所にリビングにキッチンから母さんの呑気で陽気な声が届く。
なんやかんやで結局無理矢理家に引きずり込まれた室井くんは、苦笑い気味にリビングのソファーにちょこんと小さく座っている。
その横に、慌てて着替えてきたアタシ。
そして正面には
ニヤニヤしながらアタシと室井くんを見比べる兄貴。
まるで生き地獄。
母さんの言う通り、アタシはだんまりを決め込むしかない。だって、まさかの展開でしょうな。ていうか。なに、この漫画みたいな状況。
こんな偶然てある普通?
たまたま買い物に行った母さんが
たまたまスーパーのセールに目が眩み買い過ぎてしまい、たまたま通りかかった室井くんが荷物を運び
ほんで、この状況?
ーーーどんだけ!!!!
「室井くんは、下の名前なんていうの?」
麦茶を持った母さんがリビングに登場した。
てか!!こんな状況になったのもそもそもは母さんのせいなんだから責任持ってこの状況をどうにかしてちょーだい!
こんな気まずい状況で普通のテンション保てるほどアタシはハイレベルな人間ではない。
「あ、翔です」
控え目なトーンで答える室井くんは、相変わらず白い。
正面の兄貴が無駄に黒いからなおのこと室井くんが白く見える。
「翔くんね。いい名前ね~」
「いえ」
フフフと笑いながら室井くんは麦茶を手にする。
・・・何度も言うが、なんでこの人こんなにいつも通りなんですか。アタシの方があわあわハラハラしてしまう。
「なによね、純たら。彼氏が出来たなら早く言いなさいよね」
「・・・言わないよ、そんなこと。」
なんで彼氏が出来ました報告を母にしなくちゃならんのか。
「なぁなぁ、二人の馴れ初めは?いつどこでどうやって知り合っちゃったわけ?」
「うるさい兄貴」
ニヤニヤしながら身を乗り出す兄貴を睨むと
「こわ~」と両手を挙げながら言いながら肩をすくめる。
お前はアメリカ人か。
「クラスが同じで、席が隣なんです」
内心恥ずかしさといたたまれなさで一杯のアタシとは打って変わり、相変わらずのマイペースボーイな室井くんはすんなりと答える。
「あらあらあら!クラスまで一緒なの!いいわねぇ!!」
「青春だなぁ!!」
・・・なにがだ。
もうヤダ。この母と兄。
