「あら、なら尚更上がりなさいよ~遠慮しないで!本当助かっちゃったんだから。母さん一人じゃ運べなかったわ~」
「いや、でも、」
「重いでしょソレ、早く置いて!」
「重くはないです、結局重いの全部持たせちゃったし・・・」
「いいのよ~!おばさん力持ちだから~アハハ!」
アハハじゃないのよ。なら持てよ一人で。
てか、考えて買い物しなよ母さん。
苦笑いの室井くんは
フリーズしているアタシの顔をチラチラ見ながら、強引な母さんの誘いをやんわり断ろうとしている。
「ほら、純!アンタもボサッとしてないで麦茶の準備!」
「え、あ、」
再びあわあわと動くアタシの背後から
「なになに誰かいんの~?」
と、今1番お呼びでない人物がヒョコリと顔を出す。
「あれ?」
アイス片手に呑気に登場した兄貴が、玄関先の光景を見て目を丸くする。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
じーーっと、トイレットペーパーを持った室井くんを凝視した兄貴が
「あぁ!!!!純の彼氏のもっさり君!!!!」
と、ポンっと手を叩いた。
「ちょっと兄貴!!」
もっさり君て!!
アンタ何超失礼なこと言っちゃってんの!!
しかも、超余計なこと言い出しやがった!!
「彼氏?」
キョトンとした母さんに、あわあわするアタシ。
そして、ぼーっと突っ立ったままの室井くん。
「なになに!!?なんで純の彼氏君が家にいんの!!?」
「なにアンタ!彼氏なんていたの!!?」
「いや、いやいやいや!ち、ちょっと待って!!」
ギャーギャー騒ぎ出した母さんと兄貴が玄関先でアタシに詰め寄る。
「なんだよ~くるなら早く言えよな~!ど~も~純の兄貴です~!」
「アンタみたいな娘に彼氏なんて信じられないわぁ。今日はお赤飯ね!室井くん、こんな色気もへったくれもない子が彼女でいいの~?」
「(全部ひっくるめて)あ、はい」
あわあわするアタシの目の前で相変わらずのほんとした室井くん。
てか!!なぜにあなたはそんなにも落ち着き払ってるんですか!!
「なら話は早いわ!室井くんやっぱり上がっていきなさいよ~」
「そ~だよそ~だよ、上がれよ早く!そんでイロイロ話聞かせろよ~」
「ち、ちょっと母さん兄貴!!」
右手を母さん。左手を兄貴に引っ張られた室井くんは、ヨロヨロと足をもつれさせながら強引に玄関に引きずりこまれていく。
なんて強引な家族なんだ!!恥ずかしすぎる!!
「アンタも、折角室井くん来てくれたのにそんな格好してないで、ちょっとはまともな格好してきなさいよ」
「は?格好?」
母さんの言葉に、アタシは自分の今の格好を見下ろす。
伸びきったキャミソールにヨレヨレのショートパンツ。頭なんか、寝起きそのままのボッサボサ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
・・・玄関先に、アタシの絶叫が響き渡ったのは言うまでもない。
