隣の席の室井くん①



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「へ~え。それで無理矢理室井くんはボーカルになったわけだ」



相沢くんの昔話は
所々端折ったような話し方だったけど


とりあえず、やなぎんが前に言ってたように
どうやら室井くんは物凄い強制的にライブに出されたらしい。

そして相変わらず相沢くんはゴーイングマイウェイでお気楽思考らしい。

ということは分かった。


「人聞きわり~なぁ!!ま、回を重ねる毎に翔も人前で唄うの慣れてきてるし、相変わらず人見知りだけど、やなぎんとイッチーには慣れたし!!万事オッケーっしょ!!」



ギャハギャハ笑いながらギーと椅子を鳴らして踏ん反り返る金髪少年。



「にしても、凄い人気だよねSnakeFoot」

「まぁね~。ウチのメンバーは皆それぞれ腕もあるしな~。それになんつってもイケメンギタリストに、イケメンボーカルとくりゃ~女子のファンもガッポリよ!!」

「・・・自分で言うかな」


ヒャーハッハッハ~!!という引き笑いが教室に響く。
真夏の蝉もびっくりだ。
この人、ホントに大丈夫ですか。
暑さのせいだけじゃないと思うんだよ、絶対。


白い目で、目の前の金髪少年を見ていると
机に置いてあった携帯がバイブ音を鳴らす。


ディスプレイには¨母さん¨の文字。


画面を開くと



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帰りに、ケチャップ買ってきて。

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という、なんとも飾り気のないシンプルな指令が送られてきている。


・・・自分で行けよ。



「は!!ってか!!もう6時すぎ!!?」



携帯の時計を見て、アタシは慌てて立ち上がる。

なんてこった!!
ウッカリこの金髪の昔話を1時間近くも聞いてしまった!!



「ヤバヤバ!!電車!!電車の時間!!」



慌てて鞄を引っつかみ結局ほとんど手をつけなかった課題のノートを突っ込む。



「相沢くん!!じゃあね!!また明日!!」

「え~帰っちゃうの?」

「帰っちゃいますよ!!7時から観たいテレビがあるんだよ!!」

「ぎゃはは!!テレビかよ!!色気ねぇ~!!」

「・・・うるさい、ほっといてちょうだいな」



アタシは相沢くんに別れを告げると、バタバタと教室を後にした。