シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある

舞香がぼんやりと窓の外を見つめていた午後。
病室のドアが、静かにノックされた。

「おじゃまします」

顔をのぞかせたのは、また香奈衣だった。
けれど、手にしているのは、どこか公的な封筒だった。

「これ、消防署から。
避難誘導に協力したことで、感謝状を贈りたいって話が来てて……」

舞香は驚きに目を見開いた。

「私が、ですか?」

「うん。でもそれだけじゃないみたい。
舞香のことを……“直接、お礼が言いたい”って言ってる人がいるの。
もしかしたら――そのとき、助けてくれた人じゃないかなって」

舞香の胸が、小さく跳ねた。

顔も名前も知らない、けれど心に残って離れなかった人。
もしかしたら、もう一度――会えるのかもしれない。