シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある

「島崎さんの判断が早くて、安心できました。すごく頼もしかったです」

舞香のその言葉を聞いて、朝比奈は小さく目を細めた。
言葉には出さなかったが、舞香の行動こそ――頼もしかった。

混乱した場で、誰よりも先に声を上げたのは彼女だった。
無理に誰かを誘導したわけじゃない。
ただ、怖がっている人たちの“視線を集めた”。

それだけで場が落ち着いたのは、
きっと、彼女の存在に“信頼できる空気”があったからだ。

(……現場に向いてる)

一瞬、そんな言葉が脳裏をよぎった。

もちろん、舞香は消防や救急の専門家ではない。
けれど、“誰かのそばにいる強さ”を持っている――
それは、現場に立つ人間にとって、何よりも大切な資質だった。

(俺は、最初……この人を“守らなきゃ”って思ってた)

だけど今――

(この人となら、同じ現場に立てる)

支えるとか、助けるとか、そういう言葉じゃ足りない。

並んで立って、
違う角度から“同じ未来”を見られるかもしれない。

その想像が、どこかくすぐったくて、
でも温かい確信として胸に灯り始めていた。