シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある


「へえ〜、店長さんってあなただったんですね! カフェの代表って聞いてたから、勝手に穏やか系かと……」

「ふーん? それ、遠回しに“怖そう”って言ってない?」

「えっ!? いえっ、全然そんなことは――っ!」

慌てふためく島崎に、香奈衣はあえて一歩近づいて、目を細めた。

「……じゃあ、今の笑顔はどう思った? 怖い?」

「い、いえ! 笑顔、めっちゃ素敵です!」

「ふーん。じゃあ、今日一日、私の補佐よろしくね?」

「……は、はいっ!」

舞香と朝比奈は、その様子をやや距離を置いた場所から見ていた。

「島崎さん……完全にペース握られてますね」

舞香が苦笑しながらつぶやくと、朝比奈も口元をわずかに緩めた。

「香奈衣さん、昔からああなんですか?」

「……はい。ぶっきらぼうですけど、誰よりも周り見てる人です」

「なるほど。……そっちも、いいコンビかもしれませんね」

舞香はその言葉に、少しだけ目を伏せた。

“いいコンビ”――
それは自分と朝比奈にも、当てはまるだろうか。

そっと並んだふたりの影が、春の夕日に長く伸びていた。