「……お疲れさまです」
舞香と島崎が並んで資料を確認しているところへ、
静かに扉が開き、スーツ姿の朝比奈が現れた。
「朝比奈!」
島崎がぱっと振り返る。
「やっぱ来たか! 副所長に“お前ひとりじゃ心もとない”って言われたんだよな。
あの人、意外と高島さんに気を使ってるのかも?」
「……仕事だからな」
そう言いながらも、朝比奈の目は舞香に自然と向いていた。
舞香もまた、思わず小さく微笑んで頭を下げる。
「こんにちは。スーツ、珍しいですね」
「地域行事の広報活動は、制服よりこっちのほうが柔らかく見えるからって言われて。
……島崎はTシャツですけどね」
「着替え面倒だったんだよ!ほら、これ公式支給のやつだからセーフ!」
島崎は自慢げに胸のプリントを叩いて見せた。
笑いが起きる空気の中、
朝比奈はほんの少しだけ、距離を置くように立っていた。
ふたりのやり取りに割り込むでもなく、遮るでもなく。
ただ、少しだけ表情の奥に揺れが滲んでいた。
――仕事だから。
そう思って来たはずだった。
けれど、彼女と“別の誰か”が自然に並んでいる光景に、
理屈では割り切れない小さなざらつきが、胸の奥で波打っていた。
舞香と島崎が並んで資料を確認しているところへ、
静かに扉が開き、スーツ姿の朝比奈が現れた。
「朝比奈!」
島崎がぱっと振り返る。
「やっぱ来たか! 副所長に“お前ひとりじゃ心もとない”って言われたんだよな。
あの人、意外と高島さんに気を使ってるのかも?」
「……仕事だからな」
そう言いながらも、朝比奈の目は舞香に自然と向いていた。
舞香もまた、思わず小さく微笑んで頭を下げる。
「こんにちは。スーツ、珍しいですね」
「地域行事の広報活動は、制服よりこっちのほうが柔らかく見えるからって言われて。
……島崎はTシャツですけどね」
「着替え面倒だったんだよ!ほら、これ公式支給のやつだからセーフ!」
島崎は自慢げに胸のプリントを叩いて見せた。
笑いが起きる空気の中、
朝比奈はほんの少しだけ、距離を置くように立っていた。
ふたりのやり取りに割り込むでもなく、遮るでもなく。
ただ、少しだけ表情の奥に揺れが滲んでいた。
――仕事だから。
そう思って来たはずだった。
けれど、彼女と“別の誰か”が自然に並んでいる光景に、
理屈では割り切れない小さなざらつきが、胸の奥で波打っていた。



