シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある

「こんにちはー! Cafe Lierreさん、こちらで合ってます?」

店の扉を元気よく開けて入ってきたのは、
明るい笑顔と人懐っこさ全開の青年だった。

「はい……いらっしゃいませ。ご予約の方ですか?」

「おっと、今日は“客”じゃなくて“打ち合わせ相手”です!
久瀬消防署の広報担当、島崎です。よろしくお願いします!」

声が大きい。笑顔がまぶしい。距離感が、近い。

舞香は少しだけ圧倒されながらも、軽く頭を下げた。

「地域フェア担当の高島舞香です。よろしくお願いします」

「高島さん、なるほどー、優しそうな雰囲気ですね。
これは現場でも人気ありそうだなぁ〜」

「……いえ、そんな」

「じゃあ早速、本番の配置図とか資料、見ながらお話させてください」

手際よく資料を取り出し、テーブルに並べていく島崎。
その軽快な喋りとは裏腹に、用意はしっかりしていて――意外にも“仕事はできるタイプ”らしい。

「これ、もしポスターにカフェのロゴ入れられるなら、
ちょっと目立つ位置に置きますよ? 防災とコーヒー、相性いいですし」

「……そうなんですか?」

「はい。温かい飲み物って、“安心”そのものですから」

その言葉に、舞香の手がふと止まった。
“安心”――そう言えば、誰かもそんなことを言っていた気がする。