シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある

勤務明けの休憩時間。
缶コーヒーを手に、朝比奈は署の屋上に出ていた。

ビル風が少し冷たくて、肩をすくめる。

“また来てもいいですか”

昨日、思わず口をついて出たその言葉が、いまだに自分の中に残っていた。

彼女の表情は驚いていて、でも――
拒まれてはいなかった。

それだけで、どこか救われた気がした。

携帯のメモに、あのカフェの名前が残っている。
特別な意味はない。ただ、また近くに行くことがあれば――という程度。

そう、あくまで偶然を装える範囲で。

けれど心のどこかでは、
“また会いたい”という気持ちを、自分自身が否定しきれなくなっているのもわかっていた。

彼女の言葉は、助けた人間としてではなく、
ひとりの“男”として聞いてしまった――それが、まずかった。

でも、だからこそ――また行こうと思っている。