シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある

翌日の午後。
いつもより少し早くランチのピークが終わった店内。

舞香は空いたカップを拭きながら、ふと入口のベルの音に反応してしまう自分に気づいた。

「……まだ、来ないって」

自分で呟いて、ちょっと恥ずかしくなる。
昨日の会話を思い返しては、そのたびに胸の奥がすこしだけ跳ねた。

“また来ます”

それだけの言葉なのに、心が妙に反応してしまうのは、
自分が思っている以上に、彼の声が残っている証拠かもしれない。

それに――あの人、意外と律儀そうだから、
本当に近いうちにまた来る気がする。

舞香は、小さく息を吐いてから、手元のカップをふたたび磨いた。

そんな風に思える日常が、少しだけ、好きになりかけている。