シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある

「……そう言ってもらえるのは、正直、救われます」

朝比奈はそう言って、小さく息をついた。
その声はいつもと変わらず穏やかで、けれどどこか、ほんの少しだけ柔らかく聞こえた。

「俺たち、現場では“助けたつもりになるな”ってよく言われるんです。
でも、実際のところ……無力感を抱くことの方が多いから」

舞香は、彼がそんなふうに語るとは思っていなかった。
あの日、自分を背負ってくれた背中は、ただ強くて頼もしかったから。

「……そんなこと、思ってたんですね」

「ええ。だから、ああやって言ってもらえたのは……正直、嬉しかったです」

カップに口をつける彼の仕草に、
舞香の胸が、またそっとざわついた。

この人の隣には、静けさが似合う。
だけど今、その静けさが――妙に心地よく感じられていた。