シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある

昼下がりのカフェ。
平日なのに、珍しく席がほとんど埋まっていた。

舞香はいつものように注文をさばきながら、どこかでふと、視線を感じた気がした。

「ラテお待たせしましたー」

笑顔でテーブルに運び、レジに戻ろうとしたそのとき――
入り口のドアがカラン、と音を立てて開いた。

制服ではなく、カジュアルなジャケット姿。
でも、その顔を見た瞬間、胸がきゅっと音を立てた。

朝比奈海斗が、そこにいた。

一瞬、視線がぶつかる。
彼も、こちらに気づいたようだった。

けれど、彼は表情を崩さないまま、小さく頭を下げた。
まるで、ただの“客”として来たかのように。

舞香は、手に持っていた布巾を握りしめたまま、
心がまた静かに揺れ始めるのを、止められなかった。