シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある

結婚式から少し経った頃。
舞香と海斗は、いつものようにカフェ・リエールの前で並んでいた。

「ここのコーヒー、世界一だと思う」

「それ、店員に言うの反則じゃない?」

笑い合いながら、舞香が海斗の腕に手を絡ませる。

「ねぇ、これからもずっと、一緒にいようね」

「当たり前。……おばあちゃんになっても、好きだから」

「……それ、今言う?」

「今がいいんだよ。今言うから、ちゃんと伝わる」

春の風がふたりの髪を揺らして、
手のひらの熱が、すっと深くまで染み込んでいく。

彼と、彼女と、これからの毎日。

甘くて、静かで、確かな幸せが、ここにあった。

――完