シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある

舞香は、ソファの端に座る海斗の前に、静かに膝をついた。
顔を上げれば、彼の胸のあたり――そこには、
さっきまで熱を交わしていた温もりの余韻が、確かに残っている。

「……じゃあ、わたしも仕返し、するね」

そう言って、舞香は自分の指先を彼の胸元へそっと伸ばした。
ボタンをひとつ、そしてまたひとつ――
いつもきちんと留められているシャツの隙間に、
ふわりと指が滑り込む。

「ま、舞香……?」

戸惑いと驚きが混ざった海斗の声をよそに、
舞香は、彼の胸元に唇を近づけて――

ちゅっ。

そこに、柔らかく口づけを落とした。

「……“口封じ”、だったよね? 海斗さんが、言ったの」

顔を上げた舞香の頬は、ほんのりと赤い。
でも、その目はどこかいたずらっぽく、潤んで揺れていた。

「わたしも、口でちゃんと……言いたいこと、伝えてるつもりだったのに。
伝わらなかったら、行動で見せるしかないよね?」

そう言いながら、もう一度――
今度は、鎖骨の下あたりに、甘いキスをひとつ。

「もしかして、“甘やかされたいのはどっち?”って、聞いてみてもいい……?」

ささやくような声と共に、
舞香の指先が、そっと彼の手に重ねられる。

それは、力強くはないけれど、
確かに“あなたに触れたい”と願う仕返しだった。

「……舞香って、本当にずるいな……」

海斗は、そっと彼女の手を握り返した。

「……じゃあ、今度は、俺が負けた仕返しをしなくちゃいけないな」

とびきり甘い罰とともに――
ふたりの夜は、また新しいページを開いた。