消防署の講堂に、やや緊張した空気が漂っていた。
地域防災功労者への感謝状授与式。
舞香は、用意された椅子の一番端に静かに座っていた。
香奈衣が付き添ってくれている。
それだけで、心細さが少しだけ和らぐ。
式が始まり、署長の挨拶に続いて、舞香の名前が呼ばれた。
「――高島舞香様。あなたは火災現場において、冷静かつ的確な避難誘導を行い……」
舞香は壇上に立ち、一礼して感謝状を受け取る。
会場から控えめな拍手が起きた。
その場で簡単なスピーチを求められたとき、舞香は一瞬迷ったが、息を整えて口を開いた。
「……今回、私を含めて誰ひとり命を落とさずに済んだことに、今もほっとしています。
避難に協力してくださったお客様たちの冷静な判断と行動がなければ、私はひとりではどうにもできなかったと思います。
そして、病院での回復を見守り、日々支えてくださった香奈衣さんにも、この場を借りてお礼を伝えたいです」
壇上から、そっと香奈衣のほうを見る。
彼女は驚いたように目を細め、微笑み返してくれた。
そのとき。
舞香の視線が、講堂の後方に立つひとりの隊員とぶつかった。
グレーの制服。真っ直ぐなまなざし。
間違いない。――あの人だった。
舞香の胸が、静かに波打った。
地域防災功労者への感謝状授与式。
舞香は、用意された椅子の一番端に静かに座っていた。
香奈衣が付き添ってくれている。
それだけで、心細さが少しだけ和らぐ。
式が始まり、署長の挨拶に続いて、舞香の名前が呼ばれた。
「――高島舞香様。あなたは火災現場において、冷静かつ的確な避難誘導を行い……」
舞香は壇上に立ち、一礼して感謝状を受け取る。
会場から控えめな拍手が起きた。
その場で簡単なスピーチを求められたとき、舞香は一瞬迷ったが、息を整えて口を開いた。
「……今回、私を含めて誰ひとり命を落とさずに済んだことに、今もほっとしています。
避難に協力してくださったお客様たちの冷静な判断と行動がなければ、私はひとりではどうにもできなかったと思います。
そして、病院での回復を見守り、日々支えてくださった香奈衣さんにも、この場を借りてお礼を伝えたいです」
壇上から、そっと香奈衣のほうを見る。
彼女は驚いたように目を細め、微笑み返してくれた。
そのとき。
舞香の視線が、講堂の後方に立つひとりの隊員とぶつかった。
グレーの制服。真っ直ぐなまなざし。
間違いない。――あの人だった。
舞香の胸が、静かに波打った。



