シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある

退院の日の朝、舞香はカーテンを開けながら、小さく息を吐いた。
病院の外には、冬の光がやさしく降り注いでいた。

香奈衣が病室にやってきたのは、その数分後だった。

「おはよう。退院、おめでとう」

花束を手にした彼女は、どこか嬉しそうで、そして少しだけ意味ありげだった。

「それとね――来週末、消防署で感謝状の授与式があるって。
市の防災週間の一環なんだって」

「え……私が、ですか?」

「もちろん。ちゃんとした書面も届いてるよ。
職員や関係者が出席するらしいから、ちょっと緊張しそうだけど……」

舞香は、戸惑いながらも、うなずいた。

まさか、もう一度あの人に会えるなんて――
そのときは、まだ思いもしなかった。