シュガーラテ──命を救う腕に、甘えたくなる午後がある

日差しが、カーテンの隙間からこぼれていた。
時計は、朝の7時を指している。

「……ん」

舞香が目を開けると、隣で寝ていた海斗が、
すでに彼女を見つめていた。

「おはよう、舞香」

「……見てたの?」

「うん。寝顔、かわいかった」

「……もー、朝からそういうこと言うの禁止……」

布団に潜り込もうとした舞香の肩を、海斗がそっと引き寄せた。

「今朝も甘やかしていい?」

「……ずるい聞き方」

「じゃあ、何も聞かないで甘やかす」

「ちゅ」

額に。頬に。
そして、唇に。

舞香は、されるがまま目を閉じる。
この人が隣にいてくれる朝が、
少しずつ“あたりまえ”になっていく感覚が、くすぐったい。

「……ねえ、海斗くん」

「ん?」

「こういうの、毎日だったらいいのに、って……思ってる?」

「言わなくても、伝わってた?」

「うん……でも、聞きたくなっちゃった」

海斗は、彼女の手を指先でなぞるように撫でながら、
そっと呟いた。

「毎日、こうして舞香と朝を迎えたい。
一緒に暮らすとか、そういう話、……してもいい?」

舞香は、一瞬だけ息をのんで、
でもすぐに小さく頷いた。

「……うん。私も、考えてた」

ほんの数ヶ月前まで、想像もしなかった朝。

でも今は、このぬくもりの中に未来を思い描ける――
それが、ふたりにとっての“夜明け”だった。