夜。Cafe Lierreの掃除中。
舞香のスマホに着信が入った。
画面には――「天野副署長」の名前。
「舞香さん? 落ち着いて聞いてほしい。
海斗が、今日の出動でちょっと煙を吸ってね。
一応、搬送されたけど、意識ははっきりしてる。
念のため経過観察中。……本人は、大丈夫って言ってるけど」
それだけ聞いて、
舞香はエプロンを外す手ももどかしく、夜の街へ飛び出していた。
──病院のロビー。
深夜の静けさの中に、救急の淡い灯りがともっている。
面会を許されたのは、
“関係者”と看護師に判断されたからだろう。
カーテン越しに姿が見える。
点滴スタンドの隣、ベッドに寄りかかって座っている海斗。
「海斗くん……!」
顔を見るなり、舞香の目に涙がにじむ。
「大げさだなぁ……ほら、声も出るし、元気だよ?」
「元気なわけ、ないでしょ……!
煙を吸って、倒れたって……」
「気を張ってただけ。
でも、君の顔見たら、ちょっと気が抜けた」
ベッドの端に腰を下ろすと、
舞香はそっと彼の手を包み込んだ。
「……迎えに来たの。
あなたに何かあったら、私……きっともう、普通には戻れない」
「舞香……」
「今まで、海斗くんが私を助けてくれてた。
でも今は――私が、あなたを迎えに来たの」
静かな病室で、
ふたりの心音だけが重なるように響いた。
「……俺、惚れ直しちゃったな」
「ふふ……今さら?」
海斗の手が、舞香の頬に添えられた。
そして、そのままカーテンの向こうに響かないように、
静かに、でも甘く口づけを落とす。
「ちゅ……ん」
「……もう、何度でも惚れさせてよ。
こんなに頼もしい舞香に」
「……甘やかすばっかじゃなくて、
私にも守らせてね」
その夜、ふたりは初めて――
“どちらが支えるか”ではなく、
“並んで進む”関係であることを、心の奥で誓った。
舞香のスマホに着信が入った。
画面には――「天野副署長」の名前。
「舞香さん? 落ち着いて聞いてほしい。
海斗が、今日の出動でちょっと煙を吸ってね。
一応、搬送されたけど、意識ははっきりしてる。
念のため経過観察中。……本人は、大丈夫って言ってるけど」
それだけ聞いて、
舞香はエプロンを外す手ももどかしく、夜の街へ飛び出していた。
──病院のロビー。
深夜の静けさの中に、救急の淡い灯りがともっている。
面会を許されたのは、
“関係者”と看護師に判断されたからだろう。
カーテン越しに姿が見える。
点滴スタンドの隣、ベッドに寄りかかって座っている海斗。
「海斗くん……!」
顔を見るなり、舞香の目に涙がにじむ。
「大げさだなぁ……ほら、声も出るし、元気だよ?」
「元気なわけ、ないでしょ……!
煙を吸って、倒れたって……」
「気を張ってただけ。
でも、君の顔見たら、ちょっと気が抜けた」
ベッドの端に腰を下ろすと、
舞香はそっと彼の手を包み込んだ。
「……迎えに来たの。
あなたに何かあったら、私……きっともう、普通には戻れない」
「舞香……」
「今まで、海斗くんが私を助けてくれてた。
でも今は――私が、あなたを迎えに来たの」
静かな病室で、
ふたりの心音だけが重なるように響いた。
「……俺、惚れ直しちゃったな」
「ふふ……今さら?」
海斗の手が、舞香の頬に添えられた。
そして、そのままカーテンの向こうに響かないように、
静かに、でも甘く口づけを落とす。
「ちゅ……ん」
「……もう、何度でも惚れさせてよ。
こんなに頼もしい舞香に」
「……甘やかすばっかじゃなくて、
私にも守らせてね」
その夜、ふたりは初めて――
“どちらが支えるか”ではなく、
“並んで進む”関係であることを、心の奥で誓った。



