王子様との恋はステージで

ここは星ヶ丘高校。



図書委員であるわたし、宮守(みやもり)しずくは、今日も当番をしていた。



春ということで、人も少ない図書館の中はとてもぽかぽかとしている。



わたしは手にしていた本のつづきを開いた。




『そして、王子様はお姫様と、末長く幸せに暮らしましたとさ』




高校2年生になっても、おとぎ話にはついドキドキしちゃう。



素敵だなあ、わたしにもいつか王子様が現れて…



いやいや、そんなはずないか。



でも、やっぱり…




「──あの、今ちょっといい?」


「え、あ…すみません!」




そうだ、今は仕事中だった。



顔を上げるとそこには、高峯 洸太(たかみね こうた)先輩が立っていた。



洸太先輩は〝演劇部の王子様〟と呼ばれ、学校の人気者だ。



その名のとおり演劇部の部長であり、普段も王子様のような爽やかな雰囲気医をまとっている。



洸太先輩は読書家で、こうして毎日図書館に通ってくれている。



この高校では部活動に精を出す生徒が多く、図書館に通う生徒は少ない。



そんな中毎日通っているわたしと洸太先輩とは、たまに本の感想を語り合う仲だ。



急に声をかけられ慌てるわたしを見て洸太先輩は笑う。




「ふふ、何考えてたの?」



「な、なんでもないです!!」




王子様が…なんて話、絶対できっこない!



必死で目を逸らしながら洸太先輩が持ってきた本の手続きをした。




「じゃあ、またくるね。今日もありがとう」




わたしが貸し出し手続きを終えると、彼は手を振って颯爽と帰っていった。




「はぁ…」




わたしは洸太先輩を見送り、机に突っ伏した。



今日も相変わらず王子様オーラを振りまいていた。



こうして少し会話しているだけでドキドキさせられてしまう、彼はそんな人だ。