仕事が終わって、彼氏の家に来て、一緒にご飯を食べている。

「私、本当はね、美容師になりたかったんだぁ〜」

「ふぅ〜ん・・・」

私が話していても、男は話を聞いている感じではない。

そんなこと気にもせず、私は話し続ける。

「でもね、高2の時に美容師の人と付き合って、フラれて・・・。それから、美容師の夢捨てちゃった〜」

男はもう、相槌さえ打ってこない。


「・・・ねぇ、聞いてる?」

「あぁ、疲れてんだよ・・・」

男はそう言って、黙々とご飯を食べ続ける。


・・・楽しくない。

・・・本気で楽しくない。


私も黙って、ご飯を口に運ぶ。

ご飯を食べ終え、食器を洗う。


食器を洗っていると、後ろから男が抱きしめてきた。


いつも、このパターン。


「桃子、愛してる・・・」

そう言って、男は強く私を求める。


疲れてんじゃないの!?


そう思っても、私は口に出さない。


だって、私を抱くために、この男は私と付き合っているから。


それは、分かっているけど、とても虚しい。