健ちゃんはいつも、私達の味方でいてくれた。

ゆぅ君にとっても大切な存在で、私にとっても大切な存在だった。

私達のこと、すごく応援してくれていた。


それがすごく分かってたから話さないといけないと思ったんだ。


放課後、私は健ちゃんについて中庭に行った。


今日のこと心配してくれてた、なつと千絵が下駄箱で待ってるからって言ってくれた。


健ちゃんはいつもみたいに笑ってなかった。

とても、真剣な顔をしていた。


私は健ちゃんのそんな顔を見ることが出来ずに、遠くを見ながらこう言った。


「私、ゆぅ君と別れちゃったよ・・・」

「・・・らしいな」


健ちゃんの声が悲しさを物語っていた。


「ゆぅ君のこといっぱい傷付けちゃった。健ちゃんのこともいっぱい傷付けたよね。ごめんね・・・」


私は素直に謝った。


「俺の方こそ、さっきは言いすぎた。ごめんな・・・」

「健ちゃんは何も悪くないよ!」


すると、健ちゃんは私にこんなことを聞いてきた。


「なぁ、優士からもらった指輪失くしたってホンマなんか?」


私は笑って答えた。


「失くすわけないじゃん、宝物なのに。大事に持ってるよ。・・・・・ここに」

「・・・・・」

「きっと、これからもずっと宝物だよ。でも、ゆぅ君には絶対言わないでね」


私はそう言って、首にぶら下がっているネックレスを見せた。


そこには、大好きな人から貰った指輪がキラキラと輝いていた。


あ~ぁ、言っちゃった。

誰にも言わないつもりだったのに。


だって、健ちゃんがあまりにも悲しそうな顔をするから・・・。

嘘なんてつけなかったじゃん。


「じゃあ、なんで失くしたって言うたんや?なんで、別れたんや?」


健ちゃんは何度も何度も私にそう聞いた。