痛い【短編小説】

唐突に思った。


虚しいと。



量産型は価値がない。


道に落ちてる石とか、葉っぱみたいに。


そんなのどこにでもあるから。



でも、ダイヤモンドには相当な価値がある。


理由は単純。数が少ないから。


需要はあるのに、圧倒的に供給がたりてないから。



彼はダイヤモンド。


私は、石や葉っぱ。



彼が、私に見向きしてくれると思う?






「愛那」


「えっ?」


校門を出て帰ろうとしたとき、彼の声がした。


幻聴かもしれないと思って声がした方向を向いた。


彼が立っていた。



さっき考えていたことが現実になる。


私は根拠もなしにそれを信じて疑おうとしなかった。



それまで、ネガティブな考え事ばかりして存在感をなくした心臓が、うるさいくらい鳴り響いていた。


「頑張って声かけろよ」というのは、私に告白するのがんばれという意味だったのではないか。