痛い【短編小説】

こんなこと思ったって、時間の無駄だし、ただ悲しくなるだけ。


わかってるのに考えるのをやめることができない。




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彼となにも進展せずに、三ヶ月ほど経った。



あと二日で夏休み。


彼に出会ってから、もう三ヶ月以上経ったのだ。


第一志望の高校が、私を落としてくれたことを今では感謝するほどになっていた。


夏休みになってほしくない。


彼と会えなくなるから――






「頑張って声かけろよ?」


暑い暑い放課後。


クラスの男子が、彼に向かって発した言葉。


私の中でなにかが引っかかった。



まるで、彼が誰かに片想いでもしているような。


そうは言ってないけど、私には“告白頑張れよ”と同意義の言葉に聞こえた。





そんなはずないのは知ってる。


知ってるけど、一瞬でも、私かな、なんて思ってしまった。


そんなわけないのは誰から見ても一目瞭然。



だけど片想いというのは、一人でなんでも妄想してしまうもの。


勝手に妄想の材料にして彼には申し訳ないと思うけど。




……もし、このあと、「愛那」と声をかけられて。


実は好きだったんだ、って。


言われたい。



たぶんこれは、全女子が思っていることだと思う。